「アトピー性皮膚炎」とは
「アトピー」は、ギリシャ語の「atopos(アトポス)」が語源です。この「atopos」は、"a"(否定)と "topos"(場所、位置)から成り立っており、「場所が定まらない」「奇妙な」「とらえどころのない」といった意味を持ちます。この言葉は、1923年にコカとクックによって、家族内・家庭内に発生する奇妙なアレルギー病を指す言葉として、先天的に過敏症を起こしやすい体質を表すために使われ、後に、1933年にザルツバーガーという皮膚科医が、アトピー体質の人に起こる皮膚炎を「アトピー性皮膚炎」と名付けました。
つまり、「よくわからない」性皮膚炎という意味なのです。
そして現代においてもこのよくわからない皮膚炎は、ある程度しかわからない皮膚炎に留まり、人々を困らせているわけです。
私たちは、あえてこのアトピー性皮膚炎を専門とし、ひとりひとりの皮膚の変化から様々なことを学ばせて頂きながら、患者さんの治療と、この病気の探求をしつづける同志の集まりです。
(1)遺伝的要因(①皮膚バリア機能異常と②アレルギーを起こしやすい体質) |
(2)慢性的な皮膚への刺激による、皮膚炎の慢性化(刺激及びアレルゲンに対する反応が、効率的に起こるように変化していく) |
(3)搔いてしまう自責の念、見た目への負のイメージ、周囲の人からの指摘・意見など、精神的なストレス |
(4)睡眠が浅くなり、自律神経バランスが崩れ、病気に対する悪循環が生まれる |
アトピー性皮膚炎には、患者さんごとにたくさんの悪化因子(皮膚炎が悪化する理由)があります。
アレルギー性と非アレルギー性の悪化因子がある中で、検査できるアレルギー性の悪化因子をまず抑えておくことはとても重要なことです。
今、病院で可能な検査は2つ①血液検査と②パッチテストです。それぞれに特徴がありますので、あなたに必要な検査をお話させて頂きますね。
ただ、多くのアトピーさんが見落としがちなのは、非アレルギー性の刺激(汗、繊維、毛先、おむつ、よだれなどなど)です。こちらは検査でわかるものではなく、お話していく中で一緒に見つけていきましょう。
血液検査で行うアレルギー検査は、アレルギーの総得点を調べる非特異的IgE定量と、特定のアレルゲン(アレルギーの原因)に対する反応を調べる特異的IgEの検査があります。
当院でおすすめしているのは、少量の採血で39項目の特定のアレルゲンに対する反応を調べることができるView39です。
アレルゲンとしてよく知られる、ハウスダスト、花粉、イヌ、ネコ、卵、乳、小麦、そば、ピーナッツ、甲殻類を含むアレルギー性疾患の主要な原因となるアレルゲンを調べることが可能です。
また、最近ではアレルゲンコンポーネントといって、より精度の高いアレルゲンの検査をすることができるようになってきています。必要がある場合にはこちらからお話しますね。
そしてこの血液検査は、Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー)の検査です。
パッチテストで行うアレルギー検査は、金属にアレルギー反応があるかを調べる金属パッチテストと、日本人でアレルギー陽性率の高い21種類をまとめたパッチテストパネルSの検査があります。
金属や原因物質をしみこませ腕や背中に貼り、48時間、72時間、1週間後にアレルギー反応が出ているかどうかを判断します。
そのため1回で終わる血液検査と違い、火曜に貼付、木曜、金曜、さらに翌週火曜に来院していただく必要があります。
そしてこのパッチテストは、Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー)の検査です。
1. | 問診 | 医師が症状を確認し、問診を行います。 必要な検査を判断します。 |
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2. | 検査 | 血液検査・パッチテストを行います。 |
3. | 検査結果 | 2週間程度で検査結果が出ます。 医師と結果を確認していただき、今後の診療方針をご相談いたします。 郵送でのご案内も可能です、ご相談ください。 |